少し変わったやつでした。
部屋は片づけられない。眠らない。授業に出ない。でも成績は良い。
とにかく頭が良くて、どんな難しいことでも1度聞けば理解できるやつでした。
ただその反面、とにかく部屋が汚い。ズボラ。
僕が遊びに行くとまず初めにやることが掃除です。足の踏み場もない部屋を勝手に片づけます。
ハッキリ言って人が住める場所じゃないです。そのくらい汚い部屋に彼は住んでいました。
なぜ片づけないのか?と聞いたとき、彼は「机が足りないからだ」と言いました。
今思えば、これが躁うつ病の躁状態だったのだと思います。
「机が足りない」というのは「アイデアが次々と浮かんできて作業する場所が足りない」ということだったからです。
寝ないで作業する彼の姿を見て、最初は天才なのだと思っていた僕も、次第に狂気じみた何かを感じるようになってきました。
本格的におかしくなり始めたのは、大学をさぼり過ぎて留年したあたりからでした。
大学に連れていこうと家を訪ねると、這うようにして玄関から出てきました。
とにかく具合が悪いから休みたい。うつ状態です。
ここから約半年間うつ状態が続き、彼は退学しました。
退学した後も、しばらくは別の友達が様子を見に行ったりしていたようですが、躁うつ病と診断され実家へ戻っていきました。
それ以来、その友達とは会っていません。
今度、別の友達と会うことになりそうなので、その時に聞いてみようと思います。